フリーランスエンジニアは儲かるのか?~リスクが顕在化してしまった人の末路

※特定を避けるため、フェイクを入れています。

フリーランスとして受託開発へ参画するEさんの話

エンジニアのEさんは、長年の経験を積んだ優秀なフリーランスエンジニアでした。
新卒で入った中堅SIerに10年務めた後に独立し、フリーランスとなったEさんは、多くのプロジェクトで成功を収めてきました。

37歳になったEさんは登録しているエージェント経由で新しいプロジェクトの依頼を受けました。

エージェント「Eさん、この案件受けてみませんか? 新規のお客様からの依頼です」
E「新規サービスの開発案件か……かなり報酬が高いですね」

とあるベンチャー企業からの仕事で、報酬も魅力的でしたが、新規のお客さんから受ける開発案件というところに不安を覚えました。
また、Eさんがこれまで経験のなかった技術を用いる案件でした。
しかし、高収入というのが決め手となり、、Eさんはプロジェクトを引き受けることに決めました。

E「たまには新しい言語も学ばないとな」

プロジェクトは順調にスタートし、Eさんはクライアントのオフィスに常駐して作業を進めました。
幸いにも新技術へのキャッチアップは順調に進み、Eさんは一安心しました。

しかし徐々に顧客の要求が増え、週末や休日にも仕事をすることが増えていきました。
ワーク・ライフ・バランスが崩れ、プライベートの時間が減っていくことに不安を感じながらも、Eさんはプロジェクトを成功させようと頑張りました。

しかし、プロジェクトの進行中に予想外のトラブルが発生しました。
クライアントの社内事情が変化し、プロジェクトのスケジュールが大幅に遅延したのです。

E「ここの仕様はどっちにしますか?」
クライアント「そこなんだけど、社長の承認がまだ下りなくて……もしかしたら機能オミットするかもしれないです」
E「そんな……」

さらに悪いことに、会社の資金繰りも不安定なものになっているらしく、報酬の支払いも滞るようになりました。
収入の不安定さが顕在化し、Eさんは次のプロジェクトを見つけることを考え始めました。

E「いい案件ありませんか?」
エージェント「今閑散期なので……これとかどうですか?」
E「うーん。もうちょっと良い案件ないですかね?」

エージェントから提示された案件はどれもEさんにとって満足のいくものではありませんでした。
現在の案件の報酬が高かったこともあり、少しでも良い条件の案件を探そうと努力します。
しかし現在の案件が一応続いているということもあり、高稼働を求められる案件を敬遠したしているため中々高報酬の案件を得ることができません。

支払いの滞りが続く中、Eさんは生活費を賄うために借金に手を出すことを決断しました。

E「ここをしのいだらすぐ返そう」

しかし、Eさんの思惑に反して中々報酬が振り込まれません。
そんな日が続く中、ついにベンチャー企業は倒産してしまいます。

E「裁判所から書類が来たぞ……? え、破産手続開始の通知……!?」

最初は緊急の一時的な対処策として考えていたものの、借金の返済が重荷となり、ストレスと不安に襲われる日々が続きました。

新しいプロジェクトを探すも、競合他社との価格競争が激化し、報酬が低下していく中、Eさんは借金を返済することが難しくなりました。
さらに、未払いの請求が増え、借金が増えていく悪循環に陥ってしまいました。

エージェント「Eさん。この間の面談不採用でした」
E「そうですか……」
エージェント「Eさん、待機が長引くと経歴にも良くないですし、ここはひとつ……」
E「……わかりました」

Eさんは仕方なく悪条件の急募案件に参加しました。
そこは技術的には問題ありませんでしたが、炎上中で高稼働が求められる現場でした。

精神的なプレッシャーと経済的な困難に苦しむ中、体調も次第に崩れていきました。
長時間の労働とストレスが重なり、体力的な限界を感じる日々が続きましたが、プロジェクトの進行と借金の返済を優先せざるを得ませんでした。

どうにか契約期間を満了することができましたが、Eさんの体調は悪化していました。
唯一、借金完済の目途が立ったことだけが救いでした。

しかし次のプロジェクトに参加した際には、クライアントとのコミュニケーションの課題により、仕様が曖昧となりトラブルが生じてしまいました。
結果として、クライアントとのトラブルによってプロジェクトが中止され、報酬を失うこととなりました。

借金の返済が滞り、新しいプロジェクトの受注も難しくなったEさんは、経済的に追い詰められ、生活の維持が困難になってしまいました。
家族や友人に頼るものの、支援を受けるにも限界がありました。

やがて、借金の取り立てが厳しくなり、法的なトラブルに巻き込まれることとなりました。
負債の返済と法的手続きに追われる日々が続き、心身ともに追い詰められたEさんは、絶望の淵に立たされてしまいました。

Eさんのフリーランスエンジニアとしての夢は、厳しい現実に翻弄され、悲惨な末路を迎えてしまいました。
借金の重圧と経済的な苦境、精神的な負担が彼を襲い続けた結果、フリーランスエンジニアとしてのキャリアは暗雲に包まれ、未来への希望も失われてしまったのでした。

コメント

タイトルとURLをコピーしました